株式会社松本建築金物店
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賃貸住宅の防犯対策

分譲マンションや、戸建て住宅のような持ち家は、住人の自由意志である程度無制限に防犯対策を行うこともできます。しかし、賃貸の場合はそれに大幅な制限が発生します。賃貸ではどこまで防犯対策が出来るのでしょうか。

1.賃貸物件での制限とは

賃貸の物件は、あくまで「家主」から借りて住まわせていただいています。つまり、所有権は家主側であり、住むほうは一定のルール(賃貸基本契約)に基づいて使用しなければなりません。このルールの中では、ほぼすべての場合、勝手に改造を行ってはいけない旨の内容が含まれています。当然、防犯対策においても、このルールが適用されることになるわけです。特に、壁やドアに穴を開けるような設置方法の場合は、気をつけなければなりません。

最大の問題は「原状回復」

道義的な問題はさておき、勝手に改変しまった場合、ネックになるのは「原状回復の義務」が借主にあることです。つまり、ドアや窓に勝手に穴を開け補助錠を設置したとして、退去時に「ドアを元に戻せ」と言われれば、それに概ね従う必要が出てくるということ。敷金以上にお金を請求される可能性すらあるという、金銭的な部分の問題です。
敷金は、通常に生活するうえで、故意に生じた損耗を清算する場合に減額されて返金されます。一般にこの額で係争がおきるのは、本来借主が補填する必要がない類の損耗(通常使用における老朽=自然損耗など)についても要求される場合ですが、一方で借主の故意、過失による損傷は、当然借主負担として処理せざるをえません。

2.賃貸で出来る対策、出来ない対策

多くの方は、そのような事情をご存知のようで、賃貸住宅での防犯対策に2の足を踏まれるようです。なかには「賃貸だから何も出来ないのよね。」とおっしゃる方もいらっしゃることでしょう。しかし、絶対に何も出来ないかというと、そうでもありません。

「穴を開けない」防犯グッズは?

基本的には、原状復旧に問題ないものであれば、貸主の許諾がなくとも設置は可能です。たとえば、玄関のサムターン回し対策で既設のサムターンを交換するとか、窓に「貼るだけでOK」の補助錠を設置するなどです。つまり、室内側に設置するもので、穴を開けなくても設置が出来る、かつ、跡形なく外すことが出来るものであれば、基本的には貸主に無断で設置しても問題はありません。(ただし、交換設置したものについては、元の部品を紛失しないよう気をつけなければなりません)

玄関、ピッキング対策はどこまで出来る?

では、ピッキング対策でシリンダーを交換することはどうでしょう。確かに、これは穴を開ける工事は伴いません。しかしこれを無断で行うことは、絶対にやめてください。


賃貸物件の場合、大家や管理会社は、必ずその部屋の合鍵を所有しています。これは、水漏れ、ガス漏れ、火災などの緊急時に、管理者として部屋に立ち入る必要が生じるためです。これを勝手に交換するということは、そういった場合に管理者が部屋に入れなくなるということです。それでは、管理上の大きなトラブルになる可能性があります。


同様に、穴を開けない玄関補助錠を設置することも、穴を開ける開けない以前の問題として、管理遂行の妨げになるので、行ってはいけません。よく、賃貸でも穴を開けなければOKのように間違って捉えている方が多いのですが、それは大きな間違いなのです。

3.改良したい場合の手順

防犯対策を行いたい場合、まず、物件管理者(大家もしくは管理会社担当者)に、行いたい旨を伝えましょう。ここで問題になるのが、大家(管理者)の理解度と人柄?ということになります。

すごく店子思いの大家の場合

昨今の犯罪事情などに関心がある大家さんの場合、また、そういった事件に敏感な女性専用物件などの場合は、防犯設備の不備や不安を相談することで、管理者が自主的に設備の改良を行ってくれることがあります。そうなった場合、借主からの金銭持ち出しは必要ありません。たとえば、大家判断でアパート1棟をすべてピッキング対策シリンダーに替える、オートロックを設置するという事例もあります。

自費であれば設置許可が出る場合

大家の中には、設置自体は許可しても、費用は負担しないという場合もあります。また、全額は出せないけど、たとえば折半であればOKという場合もあります。どちらにしても、個人負担でも設置が可能というのであれば、行動を起こすことはやぶさかではありません。
ただし、この場合、いろいろなことを事前に確認しておく必要があります。


費用負担
総費用がいくらで、どちらがどれだけ負担するのかを取り決めておきましょう。場合によっては、業者や製品を指定される場合もあります。


カギの本数
どちらの費用負担であっても、管理者側には管理用としてキーを渡す必要が出てきます。その本数が何本なのかを確認しましょう。借主が必要な本数+管理者に渡す本数が必要になるため、キーの複製単価が高額なものは、負担が大きくなってしまいます。


退去時の対応
退去時に、その防犯グッズをどうするのかを決めておくことも大事です。たえば、退去時は原状復旧しなければならないのか、それともそのまま退去してかまわないのかなど。


復旧工事の内容
退去時に復旧を要するなら、その範囲、内容も重要です。たとえば、穴を鉄板で塞げばいいのか、ドアまで交換する必要があるのかなど。


なお、取り決めしたことは、きちんと書面で残して、出来ればお互いの確認印なども押捺しておきましょう。後で言った言わないのトラブルになると、面倒です。

かたくなな大家の場合

しかし、なかには「防犯なんか関係ない。人から借りたものを勝手にいじるな。」という物件も、少なからず存在します。そういった場合、室内側での穴を開けない対策以外は、実質不可能です。もし、あまりに防犯的に脆弱な物件であり、借主が改善を要求したにもかかわらず拒否した場合、侵入盗騒ぎが起きた場合に、貸主に一部管理義務違反が問われると言う見解もあるようですが、これは確定的ではありません。また、補償額も大きくはないようです。あまりに貸し借り双方の意識がかい離しいるということであれば、もう、引越しを検討するほうが早道です。

賃貸契約締結以前に確認すること

防犯設備に重点を置くのであれば、事前に引渡し時の設備がどうか、改変がどこまで可かを確認しておいたほうが良いでしょう。ただ、仲介会社の営業マンが「OK」と言ったから契約したのに、入居後に大家からダメ出しされたというケースが少なからずあります。この件に限らず、確認したい事項は、すべて書面でやり取りし、その記録を残しておいたほうが、後々有利になることがあります。書面記述を拒否するようなら、そもそも約束を守る気がないと判断しても、差し支えないでしょう。

4.入退去に伴うカギの交換

賃貸の入退去に際し、カギ(シリンダー)の交換が行われるのは、当たり前と思われている方がいますが、実はその行為は管理者側の任意であり、それを義務付ける法やガイドラインの類は存在しません。

カギを交換する意義

以前の入居者とキーを変更するということは、防犯上たいへんたいへん重要なことです。多くのキー(ディンプルキーであっても)は、借主が勝手にキーコピーすることが可能です。安価なものなら、ホームセンターで数百円でコピーできますから、一体何本コピーが存在するのかもわかりません。たとえ、貸与した数が返納されていても、前の住人がそれ以上のキーを所持していて、それを使って後日侵入する可能性があるのです。たとえ前住人は善い人でも、その人が勝手に又貸しした身内や、昔の恋人が使用したり、落としたキーや置き鍵を盗まれて使用されるケースも少なからず発生しています。もし入居に際し交換をしないようなら、近年の常識として交換を要求するべきです。(ただし、管理者がそれを履行する義務はありませんが)

費用負担はどちら?

明確なルールがないわけですから、その費用を貸借どちら側が負担するのかというガイドラインもありません。どちらかというと、賃借人側に負担を求めるケースのほうが多いようです。
またその時期ですが、退去時に損耗として請求するケースもあれば、入居時に設備更新として請求するケースもあります。入居時の交換の場合、新入居者の任意で交換するかどうかを取り決める場合もあります。

悪質なパターン

よく言われるのが、市価より交換費用を高く請求されるということです。しかし、悪質と言えるほどの上乗せ幅(たとえば市価の数倍とか)でなければ、容認せざるを得ないでしょう。交渉するのは自由ですが、価格設定権はあくまで業者側、貸主側です。ですから、交換終了後に揉めるより、そもそもの賃貸契約締結以前に、鍵はいつの段階で、誰の、どれくらいの費用負担で交換されるのかを、書面で確認しておくほうが、安心だと言えます。
しかし、なかでも最悪なのは、交換していないのに交換したと主張される場合です。素人だからわからないだろうと、交換せずに、コピーして員数だけ合わせたキーを貸与する場合もあります。その場合、本来のキーシリンダー交換の意味である「以前の住人とキーを変更する」が、まったく形骸化しているということになります。


シリンダーローテーション、とは?
一部業者では、入退去に際して、予備を含めたストックシリンダーを任意に入れ替えていく「ローテーション」と言う方法をとっていることがあります。これで、少なくとも前住人が侵入することは出来なくなります。しかし、建物的には、いずれどこかの部屋で再利用されるわけですから、不正に合鍵を所持した旧住人が、それで侵入する可能性がないわけではありません。防犯面からすると、お勧めできる方法ではありません。事前に業者に、ローテーションかどうか確認するほうがよいでしょう。


また、最悪な業者の場合、退去時、新入居時に、鍵交換代金を故意に2重請求することがあるようです。不審な場合は、よくよく業者に説明を求めましょう。

カギを無くしてしまったら…

あくまでもキーは家主から借りているだけですから、退去時には借りた数だけ返却する必要があります。これを、無くしてしまったので、コピーして員数をあわせ返却する方がいますが、あまり感心しません。反論として「どうせ新入居時にキーを交換するだろう」「まともに申告したら、市価よりも高くふっかけられる」といった話を聞きますが、あくまで借りているものを無くした賃借人の不注意ですから、きちんと管理者 に報告をし、対処法を伺うほうが道義的でしょう。

居住中に勝手に作った合鍵

居住中に作った合鍵は、やはり道義的には、退去時にまとめて返却するほうがよいでしょう。
たとえば、退去に際し、キーの員数が揃っていることでシリンダ交換をしないことがあります。そのうえで、その家で空き巣騒ぎがあった場合、キーを所有していれば真っ先に疑われる可能性さえあります。また、業者によっては契約書に「コピーを含め、すべてのキーを返却すること」と明記されていることがあり、それを履行しなければ契約違反ということになり、場合によっては賠償請求に対象になることもあります。

5.理解度が低い貸主、借主

居住中に作った合鍵は、やはり道義的には、退去時にまとめて返却するほうがよいでしょう。
たとえば、退去に際し、キーの員数が揃っていることでシリンダ交換をしないことがあります。そのうえで、その家で空き巣騒ぎがあった場合、キーを所有していれば真っ先に疑われる可能性さえあります。また、業者によっては契約書に「コピーを含め、すべてのキーを返却すること」と明記されていることがあり、それを履行しなければ契約違反ということになり、場合によっては賠償請求に対象になることもあります。

合鍵を作れないキーと言われたが…

「合鍵を作れない鍵」もしくは「複製がたいへん難易な鍵」は実在しますが、そうでないものをそう理解している管理者が少なくありません。
たとえば、「ディンプルキーは合鍵複製が不可能」と思われてる方は多いのですが、実際はそのへんの専門のキーコーナーでコピー可能なものがほとんどです。また、キーコーナーでは受け付けてもらえなくとも、他の方法で作成が可能なものも存在します。それは、やはり複製困難を謳う事が多いカードキーであっても、同じことが言えるものがあります。
営業マンレベルでは特にその傾向があるので、「このキーは複製できません」と言われても、まず疑ったほうがよいでしょう。

合い鍵の料金

合い鍵、追加キーの料金に、定価は存在しません。すべて賃貸業者、製作の下請け業者の任意です。私の知る限り、特にディンプルキーにおいて、あまりにもばかげた金額で取引されていることがあります。カバスターなどの特に高価なものでは4〜6000円というのは納得できますが、それ以外ではせいぜい1本3〜4000円程度が常識的な価格ではないでしょうか。それでも、従来のものよりはおそろしく高価ですから、事前に貸与されるキー本数、必要な本数、不足な場合はかかるコストを確認しておいたほうがいいでしょう。

「マスターキー」という呼称

よく、コピーキーでない、メーカーが製作したオリジナルのキーを「マスターキー」と呼称する方がいますが、それは間違いです。純正コカギ、もしくはオリジナルキーと呼びます。なぜかというと、マスターキーという呼称のキーは、別に存在するからです。
マスターキーとは、管理者が所持する、複数の部屋の錠を開けられるキーのことで、賃貸物件などでは大家や管理会社が所有しています。これが流出すると、その建物全室に侵入可能になるため、たいへん重要なものなのです。それと混同することは、たいへんややこしいのです。

渡すキーはオリジナル?コピー?

一般に、契約時に渡されるキーはオリジナルキーであることが多いのですが、なかにはコピーキーを渡す業者もいます。これは、オリジナルは保存しておき、普段はコピーを使用すると言う考えもあるようですが、なかにはオリジナルが紛失しているために、やむを得ずコピーのみで運用しているケースもあります。
コピーキーを渡された場合は、ローテーションであるか、交換をまったく行っていない可能性があります。引渡し時にコピーを渡された場合は、その理由の明示を求める必要があります。

注意:このコンテンツの内容について

このコンテンツでは、実際の例や解釈をもとに構成していますが、賃貸契約はあくまで個別のものであり、特約、地域差もあるため、ここにある内容が必ず履行されるとは限りません。紛争が起きた場合の責務は負いかねますので、ご了承ください。