インテグラルロックタイプの防犯対策
2006.May.07.UpDATE




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 ドアノブの真ん中に鍵穴があるこのタイプの錠のことを、シリンダーモノロック、ノブ付き本締り錠、インテグラルロックなどと呼びます。この錠は、以前はたいへん一般的な錠でしたが、現在では一転、たいへん危険な錠として知られています。さて、その理由は?また、対策方法は?



■ インテグラルロックとは? ■

 インテグラルロックは昭和30年代後半、日本のメーカーが開発した本格的な錠の先駆けとも言えるものです。それまで主流だった円筒錠の防犯的な脆弱性をカバーし、かつ加工の簡易さやコンパクトさを保とうとした画期的なもので、開発メーカーの美和ロック社の躍進の「鍵」になった商品と言っても過言ではありません。そして、その後各社が規格に追随し、昭和40〜50年代を中心に爆発的に普及しました。


    シリンダーモノロックの外観的特長
  1. ノブ(握り玉)の中央に鍵穴がある
  2. 室内側はノブ中央にあるサムターンで施開錠する
  3. ラッチ(写真では上)と、かんぬき(同下)を別個に備えている

 ただし、GOAL GF(Gロック)、ALPHER TA-E(ミリオンロック)など、かんぬきとラッチが同じ部位から出てくる商品も存在しますが、これもインテグラルの一種です。
 また、似た外観のもので円筒錠があります。これはインテグラルよりさらに防犯力が劣ります。室内側がサムターンではなく、プッシュボタン式になっていますので、見分けが可能です。

当時の防犯性の評価

 円筒錠は、ラッチの動きのみで施錠をするもので、こじ開けに対する耐久性が高くありませんでした。これに対しシリンダーモノロックは、通常の箱錠と同じく、ラッチ以外に施錠のみに使用される「かんぬき」を有しており、それによってこじ開け耐久性能を大きく向上させたものです。当時としては、これは画期的なものでしたので、多くの玄関などで採用されました。





■ インテグラルロックの問題点 ■
 しかし、時が巡って現代になると、このタイプの錠では防犯的に不十分であるとの指摘がされるようになってきました。
インテグラルロックの構造的弱点
こじ開けに弱い
 円筒錠よりはこじ開けに強いはずだったインテグラルロックですが、近年の規格と比べると、まったく脆弱であることがわかってきました。それは構造上「かんぬき」の長さが短いことが主な要因です。また、かつての扉や枠が脆弱だったため、こじ開け耐久性がさらに落ちる結果になってしまったのです。

もぎ取りに弱い
 工具を用いたノブもぎ取りに対し、高い耐久性が得られません。ある工具を使用すれば、数十秒もあれば破壊、開錠できてしまいます。

サムターン回し対策がされていない
 特に、勝手口などのガラスなどが使用されているドアの場合、これがなされていなければ、防犯性能は上がりません。
ピッキング対策は必要?
 近年は、錠の性能=ピッキング耐久性と思われがちですが、この製品はたとえピッキングに強い鍵穴がついていたとしても、それ以外の2つの防犯的要求を満たせないため、総合的には防犯性能が高いとは考えることは出来ません。極端に言えば、シリンダー以外の部位があまりにも脆弱なため、高級シリンダーに交換をするだけ無駄だとも言えます。
インテグラルロックの性能評価
 このタイプの開発メーカーの美和ロック社は、現在この錠を「室内用錠」と表記して販売しています。これは、2005年から施行されたピッキング防止法(俗称)において「玄関等、建物外周で使用される錠は防犯性能を表示しなければならない」と表記されたことに対応する措置です。つまり、あくまで室内用の商品であり、防犯性能を満たしていないので玄関では使用しないでください、と、言っているに等しいのです。
 一方、他メーカーは、従来どおりにあくまで玄関用として、性能表示を行っています。これによると、ほぼすべての従来商品が、(ピッキング対応シリンダーが付いているものについての耐ピッキング性能以外)最低の評価しか得られていないことがわかります。

 以上を鑑み、この錠を今後建物外部で使い続けることは危険であり、慎まなければならないと考えなければならないのです。




■ インテグラルロックの防犯対策 ■
 では、このタイプの錠の防犯性能を上げるには、どのような方法があるのでしょう。
とりあえずピッキング対策だけする
 他の防犯性能はともかく、とりあえずピッキング対策だけしたい場合は、ノブを対策シリンダーが付いたものに交換することが出来ます。
 インテグラルロックには、ノブのツメ(スピンドル)の形状によって、おもに2タイプに分類できます。メーカーが異なっても互換性がありますので、どのタイプかを確認することで、交換可能な商品を選択できます。

タイプ
ノブ設置部の形状
設置可能タイプ
(表記刻印)
A ダブルスピンドル

上下に2本の爪がある
MIWA HM
MIWA 145A
MIWA 145SP
B シングルスピンドル

爪は上下いずれかに1本
MIWA HBZ(SP)
GOAL UC 、 G・F
SHOWA IS、ISD、IX
ALPHR TA-E、無刻印
AGE 、 BEST 、 EPO
AGENT 、 その他


 B・シングルスピンドルタイプについては、メーカーによって引き足のピッチが異なります。また、メーカーによってスピンドルの幅が狭く、装着できない場合がありますので、お気をつけください。

なんとか、メインロックのみで防犯性をあげる
 追加の穴開け加工を伴わずに、ピッキング以外にサムターン回し、こじ開け等にも対応できる対策です。

AGENT GMD-W
ディンプルキーで両面シリンダータイプの交換用ノブ。ガラス入りドアでも、完璧なサムターン回し対策が可能。ほぼすべての錠ケースに対応。
呼び足ピッチ:42mm、44mm、50mm
GOAL V-UC6Q
ディンプルキーでも定評がある同社V-18シリンダーの両面タイプ。本体ケースも交換することでMIWA、SHOWA他の多くの錠に交換可能。
KABA 4600F
カバスターシリンダーを装着した交換用ノブ。室内側サムターンを無効に出来る「お出かけモード」付きで、サムターン回し対策が可能。また、独自機構によりもぎ取りにも耐久。
AGENT RELOX-64D
インテグラルから扉追加加工を一切せずに、流行のプッシュプル錠に交換するキット。ディンプルキー、こじ開けに強い鎌デッド、サムターン回し対策もされている、現行交換用としては最強の機種。BS64mmのみ対応。

補助錠を付け、本格的な防犯対策をする
 他のドアと同じように、補助錠を設置することで防犯力を大幅に上げることが出来ます。扉自体が脆弱で、ガラスが大きいドア、框が細いドアなどの場合は特に、こじ開けに強い鎌デッド、サムターンが取り外せるもしくは両面シリンダーの錠を設置すると、格段に効果が見込めます。
>> 補助錠のサイト
内締り錠を付ける
あまり高価な補助錠は付けられない場合には、内締り錠を設置するという手もあります。勝手口のように、外部からは開け閉めしない場合などには、特に有効です。
>> 強力内締り補助錠 F72




■ ノブの交換方法 ■
 通常の外シリンダー+内サムターンタイプの錠のノブ取り外し方法です。ケース本体を交換する場合も、まずノブをはずさなくては外すことはできません。
 なお、MIWA HBZタイプ、各社の両面シリンダータイプは、はずし方が異なりますのでご注意ください。
1
室内側ノブの根元の台座部(ローズ)を、時計と反対方向に回します。

ただし、これは固く回しにくい場合が多いので、2項のような工夫が必要です。
(ペンキ付着の場合、あらかじめカッターで切れ目を入れるとよいでしょう)

滑り止めが付いた軍手をはめてとか、タオルで包んでプライヤーで掴んでという方法もありますが、画像のようにマイナスドライバーのエッジを当て、軽くハンマーで叩くように回すと外れることが多いので、お試しください。

そのまま回すと、玉座ごと外れます。
その下から、押さえ座が現れます。

押さえ座のビスを2本とも抜きます。押さえ座が外れます。

押さえ座をはずすと、外側ノブ(シリンダーが付いたほう)が取れるようになります。

逆の手順で新しいノブの設置ができます。




■ 推奨・交換用玉座リスト ■
 交換用のノブです。Bタイプについては、純正メーカー以外の対応は可否が分かれますので、ご確認が必要です。
MIWA U9HMD-1 KB   キー3本付  
 MIWA純正ノブ。現行標準のU9シリンダー装着タイプ。同社のHM、145タイプはすべて対応。
A
B×
MIWA JNHMD-1 KB   キー3本付 
 MIWA純正ノブ。あの「カバスター」のOEM版シリンダー装着タイプ。同社のHM、145タイプはすべて対応。
A
B×
GOAL V−UC5Q取替え玉座   キー3本付  
 V-18シリンダー装着ノブ。GOAL全製品以外にも、MIWA製品、一部他社Bタイプにも装着可能。
呼び足ピッチ:44mm
A
B
SHOWA NX-DAC2    キー3本付
 SHOWA製品以外にも、他社のBタイプの多くに交換が可能。同社最高ランクのNXキー装着。
呼び足ピッチ:44mm、50mm
A×
B
AGENT 万能取替え玉座   キー5本付き
 ほぼすべてのメーカーのインテグラルに交換が可能な、万能タイプ。ディンプルキータイプ。
呼び足ピッチ:42mm、44mm、50mm
A
B














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